よくあるご質問に、会員以外の人と山に行ってもいいですか? というものがあります。これは山岳会を単なる便利な集団、無料で技術を教えてくれてガイドに頼むと高い料金のかかるルートを登らせてくれるグループ、仲良しクラブの延長でなにをしても許される、と捉えているかたに多いようです。

 回答としては、当会ばかりでなく、原則として山岳会は会員以外の方との山行を禁止しています。当会では、少人数のため、相互承認が取れる労山加盟の会に限って兼会を認めていますが、たとえ兼会先であっても当会会員以外の方との計画の場合はハイキングレベルから審査と許可が必要になります。ハイキングですと、それほど時間を取らずに計画を受領しますが、難易度が高い計画になりますと、兼会先との相互検証が必要になりますので、承認まである程度時間がかかります。

 こうした手続きの必要性には次のような理由があります。まず、ネットの集まりとは違って、山岳会では、遭難対策という機能があります。救助捜索にスムーズにつなげたり、場合によっては会員が救助捜索に入ることもあります。一旦事故となると、同じ会の会員同士のパーティーであれば、この連携が問題なく行われるのですが、他会のメンバーと一緒だと対策体制の違いから軋轢が生じることもあり、法的な問題に発展する可能性もあります。そのため、同行者については所属先や経験などを加味して、個々の判断となります。

 しかし、一般的に山岳会を便利な面だけ利用しようという方には、こうした側面が理解できないケースが散見されます。そんな面倒なことを言われるのであれば、山岳会なんか入らなくてもいい、と思っていても、では、自力でアルパイン技術が身につけられるかといえば、それは結構難しいという事実に直面します。ではガイドにつこうと思うと、思っていたよりお金がかかるし、それなら適当なことを言って山岳会に潜り込んで技術講習だけしてもらってあとは勝手に友達と計画を立てられればいい、と考える人が出てます。しかし、そうした行動は身勝手だと思いませんか?そんな身勝手な人が仲間の安全を本気で考えてくれるでしょうか?口先ではいいことをいくらでも言えますが、それが行動に結びつくとは限りません。

 実際、入会希望者で、ジムで知り合った他の山岳会所属の「上級者」の方から「うちの会では初心者を教えないから、初心者用の会に入って技術を教えてもらってきたら一緒に行ってあげられる」と言われたから当会に入りたいというかたがいらっしゃいましたが、山岳会には「上級」も「下級」もありません。単に危機管理をする会としない会、メンバーの技量を考慮する会としない会、教育力のある会とない会、メンバーを育てられる会と育てられない会があるだけです。自分たちでパートナーを育てられないのに、危険の制御ができるわけがありません。たとえ当会で技術を身につけたとしても、他会会員との計画は当会に貢献がなければ認められません。逆に考えれば、相手は、ジムでたまたま知り合ってしまったけれど、アルパインは誰にでもできる活動ではないので、その人をとても自分の会には入れられないから、苦し紛れにお断りのつもりで言ったのかもしれません。言われた方は、コミュニケーションがとれず、空気が読めず、言われた通りに講習してくれそうな山岳会を探したのかもしれませんね。

 また、アルパインはハイキングとは異なり、誰にでもできる活動ではない、ということが理解できず、この会ではコミュニケーションが取れないから、と山岳会を転々と渡り歩く人もいます。その場合は一刻も早く自分の生き方を振り返る必要があるかもしれません。アルパインの山岳会で適切に人間関係が築けず、コミュニケートできなければ、自分も相手も危険に晒すことになります。もう一度、山岳会に入る目的と意味、適性をご確認ください。

 アルパインをしている人がいないから、と言う理由で山岳会をいくつも渡り歩く人にも注意が必要です。よく話を聞いてみると、決してその会にアルパインをする人がいないわけではなく、仲間に入れなかった、あるいは仲間として認めてもらえなかったというだけのことが多く、ハイキングしかしない会だった、というわけではないようです。総合山岳会では、仲間として認めてもらうには、それなりの道筋があるものです。そういう人は結局、自立して登ろうという気持ちは持っていないため、他力本願で、すでに自立して活動している人を見つけては登らせてもらおうとするのですが、これは意外と成功しません。いくら山岳会を渡り歩いても、その人に会での貢献があり、自立した実力がない限り、「自由な」会では誰もパートナーにはしてくれません。それよりも、自分でしっかりした技術と経験を積んで、危険を制御する方法を身につけて仲間と共に育っていこうという方向性を持つ方が生涯の友と出会える確率が高いのです。

 技術だけ当会で伝達してもらい、自分が後輩に伝達するのは面倒だしイヤだから、楽しい計画は他会の人と立てたいと考える人、あるいはそういう行動をしてきた利己的な人とパートナーになりたいと、誰が望むでしょうか?逆の立場ならどうか、是非お考えください。


 最近は縛りのない「自由な」山岳会も増えてきました。そうした会では、遭難対策や山行管理は行われておらず、技術を伝達してくれることも、丁寧に講習してくれることもありませんが、自由に行動したいのであれば、そうした会を選択されることをお勧めします。自由な会でなぜ講習してくれないかと言えば、その会に残る可能性がないのに無駄なことをしても意味がないからです。


 当会は少人数のため、いつも同じメンバーだと気を使う、という側面もあるかもしれませんので、前述した通り、相互承認のできる労山加盟の山岳会とは兼会ができることになっています。これは労山加盟の会であっても相互承認が取れないケースもありますので、詳細は会員になって、必要性ができた際にお伝えします。

 バリエーションではない山行ですと、兼会をしなくても、相互承認のとれる会の会員であれば労山加盟以外の会の方との山行も許可されますが、当会の会員である以上、会への貢献とそれまで受けた技術提供に見合うだけの会へのフィードバックがあって始めて、こうした許可の対象となります。なにも会に貢献していないのに、講習はしてほしい、自分では登れないところに連れて行ってほしい、好き勝手な行動はしたい、安全対策はしてほしい、というのはいささか欲が深いと思われませんか?山岳会は無料のガイドではありません。ちなみにガイドであっても技術講習をしたのに、肝心のルート計画には他のガイドにつくなどすれば、いい顔はしてくれません。

 当会でリーダー認定以前の場合、一人前と認められる技術をすべて伝えきれていませんので、危険の制御ができるとは考えられないため、バリエーションの共同計画、他会とのロープ使用計画参加には兼会先であっても審査と許可が必要になりますので、ご自分でリーダー部との確認をお願いしています。もちろんハイキングであっても経験が足りていない場合、相互承認の取れない会の会員や無所属の方との山行は基本的に認められていません。


 登山をしている限り、遭難とはいつでも隣り合わせだという自覚を持つべきです。残念ながら、遭難を「なくす」ことは不可能です。どんなにトレーニングをして、どんなに知識を仕入れても、遭難の可能性をゼロにすることはできません。

 しかし、遭難の可能性を「低く」する、つまり遭難防止に向けて努力することはできます。遭難防止に向けて活動するために山岳会があるのです。昨今の山岳会はその役割を放棄している割合が高いため、新規に入会する際はよく観察してみてください。

 もっとも山岳会には入会しない、単独でも山に行けるし、友人と行っていれば楽しいからそれでいい、と考える人も多いでしょう。

 しかし、「今まで大丈夫だった」から「次回も安全」とは限りません。「友人がいれば安心」とも限りません。遭難したら通報はしてくれるかもしれませんが、遭難を「防止」する役目は果たせないのです。

 当会では、本来の山岳会の役割である「山行管理」に力を入れています。「管理」というと堅苦しいようですが、上から管理するものではありません。たいていは、「天気が下り坂だから早めに下山してね」「暑いから熱中症に気をつけて水を多めに」とか「アクセスの道路が凍結していそうだからチェーンも用意しましょう」とか、「このルートで4日間の縦走だと3日めが辛そうだから注意してね」とか、簡単な声かけから始めています。

 こうした小さな声かけは日常でもとても大切です。なぜなら、人間の思考には「認知の歪み」であるバイアスが存在しており、誰もがその歪んだ認知から逃れることができないため、わずかな見落としから重大事故に発展してしまいがちだからです。バイアスは進化の過程で人間に備わっている機能なので、「私にはバイアスはない」と言える人はいないのです。バイアスの補正をするには、なんといっても科学的なアプローチと経験の蓄積が大切です。(バイアスや認知の歪みについては入会された方にはもっと詳しくお話する機会があります。)

 当会では山行計画をもとに日頃から気軽な声かけをしあって、少しずつ注意喚起をしていけば、重大事故につながるミスをしにくくなると考えています。

 付け加えるなら、反省も大切です。どんなミスをしてしまったのか、ミスと言わないまでも気掛かりだった点も集会で報告しあって、全員で次の山行に生かしていこうと考えています。あまりに煩雑になるので、ブログではカバーしきれない部分もあります。定例集会後の飲み会が楽しみ、という向きもあるかもしれませんが、当会の集会は計画、報告、情報交換、事故事例分析、技術講習など多彩で実質を伴うものです。

 単に計画を出すだけ、記録するだけ、報告の日記を書くだけ、自慢するだけ、というなら、ネットでもアプリでもできるかもしれません。しかし、山岳会はそれだけにとどまらない機能を持っています。アプリや単独行動、友人同士では決して得られないのが、認知の歪みの補正効果をもつ山岳会での山行管理と定例集会なのです。

 もちろん、山岳会では新しい山仲間ができるというメリットもありますし、山の情報交換、事故事例の分析なども聞くことができます。ネットでは出てこないような情報がたくさん得られるのが当会の定例集会です。いうまでもなく、集会後のお楽しみも・・・ご期待ください。

 

 

 

 

 はっきり言って(?)当会の飲みはご馳走満載です!!!  山菜の天ぷらで白ワイン&日本酒、特別な牛ステーキ肉と地産野菜で赤ワイン、など・・・乞御期待!