天女山ハイクと登り返しの実践編

 土曜日は諦めのつく雨の降り方だった。

 日曜日はまだ濡れているであろう岩場を避け、朝のうちにお気楽ハイキング。このところ、どういうわけか、天女山を目指すと途中でシャリバテる。

 今回は「登頂」を目指して、ゆったりムード。

 やはりシャリバテがきた。が、歩き方でなんとか誤魔化す。

 午後は体調を整え、登り返しの実践編。

 セットが確実にできるようになったところで、懸垂からの登り返し、傾斜がある場合、空中懸垂の場合、など複数の場面設定でセットの違いを確認。必要に応じて仮固定も数種類試す。またルートで登れないときにはどのようにセットに持っていくのか確認。ルートから滑落してしまった際のセットなど。トラブル状況に応じてセットをアジャストする必要もある。

 もちろん基本のセットが出来なければ応用には入れないので、基本ができていないと実践編には進めない。

 基本のセットで脱落する人も結構いる。そういう人は原理を理解できないらしい。

 ハンドブックでは各技術の基本部分、セットの一例しか出ていないので、実践は各パーティーに任されている。

 ハンドブックのセットと私たちが推奨しているセットの違い、そのメリットとデメリットも確認。

 技術は状況に応じて使い分けが出来なければならない。しかし、絶対に省略してはならない部分、決してミスがあってはならない部分がある。これも原理の理解がないままに見様見真似でセットしてしまうと危険である。

 こうした基本が終わると実践編となる。実践編からはさらに頭をフル回転させなければならない。

 実践を想定した練習ができないとトラブルシューティングにつながらないので、とにもかくにも原理を理解することが大切。

 ロープワークは数学の公式のようなモノで、公式を覚えていても、公式が導き出される理屈がわかっていないと応用が出来ず、応用が出来なければ試験問題を解けないのと同じことだ。

 いつも例題と同じ問題が出てくるとは限らないのがアルパインクライミングなので、形だけ覚えればいい、というものではない。

 しょっちゅう、「なぜ」と聞くのはそのためである。

 沢登りで「ロープ切断しなければならない場面」に言及したが、クライミングでもそうした場面が出てくることがある。その見極めなどはやはり相当場数を踏まないと身につかない。

 トラブルシューティングはその場で考え出さなければならない要素が入ってくるため、原理がわかっていないと対応方法が考えられない。決まりきった技術だけで切り抜けられるわけではないので。

 そうなると、アルパインで一人前になるには、どうしても5年、10年単位で考える必要がある。それも集中的に岩場で登っている場合に可能になるので、1年に数回、あるいはジムトレだけでは永遠にモノにはならない。