冷え込みました

昨日は一日中冷たい雨。
 寒気が下りてきているので、山は雪に変わるだろうと思ってはいたが、2000メートル以下まで雪線が下りていようとは…
 朝早くから相方が慌てて「hamaちゃんを撤収させないとダメ、すぐ電話連絡して」と大騒ぎ。ハマちゃんは木曽駒ヶ岳から宝剣への登山に出ている。計画書の段階で、私から雪になる可能性は伝えて、暖かい服装ではいってはいるものの、ここまで雪が降ると話は別。
 あいにく留守電だったが、しばらくして折り返しの連絡を入れてくれた。せっかく登り始めたので、心残りかもしれないが、2,500メートル以下で引き返すようにアドバイスした。雪が緩む昼前後の登りはなんとかなっても、下りに入る午後の時間帯になると雪が凍結し始めるので滑落やスリップの危険性が増す。積雪も、完全冬山装備でないと扱えないくらいの状況なので、縷々撤収を諭す。幸い、ハマちゃんは素直にアドバイスをきいてくれ、元の登山口に下山したとのことで、ホッとした。甲斐駒では七丈小屋で踝まで、それより上は膝下までの積雪だったらしい。膝下だとアイゼンだけでは足りなくて、もうワカン、ラッセルが必要。もちろんまともな雪訓を受け、雪山のイロハくらいは知らないと話にならない。
 10月で積雪というと、初心者はまさかと思うらしいが、9月に入れば、すでに雪が降ってもおかしくない。真夏でも低体温症の心配がある3000メートル峰なら、10月には照れば真夏だし、気温が下がれば真冬になる。
 兎にも角にも、ハマちゃんが私たちのアドバイスを聞いてくれてよかった。つい先日も山岳会から山行を止められた人が、会を退会して計画を遂行しようとして結果滑落死した、という報告があったばかりである。会としては、技量が足りないから、と山行を許可しなかったのだが、本人の自己認識では自分は体力も技術もある、と考えていたらしい。経験者のアドバイスは聞いておいたほうがいい。なにも意地悪で言っているのではないのだから。命はひとつなので、それを守りつつ、挑戦をしてほしいという意味なのだから。人間の認識とはバイアスのかかりやすい不確実なものなのだ。自己客観化する習性のない人は怖い。
 もっともアドバイスしても取捨選択は各人の自由ではあるのだが…