初めての御在所

 関西のアルパインクライマーにはお馴染みの御在所。

 私たちは初御在所となった。

 目的は各地の登山学校講師の交流会。

 かなり技術レベルと内容に差があるので、大事な点をすり合わせつつ、それぞれ道具と技術のアップグレードを図る。

 二日目は初御在所で初前尾根登攀。

 相方が怪我のため、私はオールリードとなった。やはり初めての九州メンバーをフォローに、登りきった。途中、岩場テロレベルの学生パーティーに行手を阻まれてしまい、追い越しをかける。クラック技術が役に立った。

 全体の集合は14時だったが、テロのおかげで30分遅刻、すでに会合は解散していた。

 御在所は、またプライベートでゆっくり訪ねたい場所となった。

 余談だが、14時半に下山してくると、登山口近くで3人の若者に声をかけられた。

 「山頂ってこっちでいいんですか?」と聞かれる。

 「この先が登山道入り口だけど、これから登るの?」

 「はい」

 「普通に歩いて4時間、走って登っても2時間はかかるけど、今の時期夕方5時になると真っ暗になるけど、ヘッデンは持ってるの?」

  「ヘッデン? ヘッデンってなんすか?」

 「頭につける小さい懐中電灯のことなんだけど、下りは完全に真っ暗になるし、ロープウェイは17時で終わるから、これから登っても間に合うかどうかわからないですよ。間に合わなくて、ヘッデンも持っていないと、月もなくて真っ暗だと道迷いになって、今日はおうちに帰れなくなるけど大丈夫? 山の夜は本当に何も見えなくなりますよ」

 「えっ、そうなんすか?」

 そうなんですよ、そういうのを遭難と言ってるんだけど、聞いてない? 今から登るのは、今日はやめておいて、また早い時間にきてみたら? 何時なら大丈夫ですか。遅くても朝9時には登り始めないと、途中疲れたりしたら日暮れまでに降りられない可能性が高いですよ・・・えっ、そんなに早く? 私たちは普通6時には登りはじめて遅くても午後3時には行動終了するのが当たり前だけど・・・そうなんすか? そーなんですよ、若者!!

 この最後の若者たちとの会話の方が登攀よりよっぽど疲れた・・・

 (後日談あり 11/23日参照)