新人の感想から

 当会では計画書の作成から山行が始まり、報告書の作成でその山行が完結する。

 今期の新人はその意義をしっかり理解してくれた。

 こうした点で合意が取れない場合は価値観に差がありすぎるので同じパーティーを組めない。

 報告書は会員はドライブ保存してあり、過去に遡って閲覧可能である。

 

 先週のアルパインクライミングについての新人からの感想を抜粋しておく。

 新人はいわゆるクラシックルートが初めてなので、いろいろな思いがあったことと推察する。

 集中的にトレーニングを重ねて約2ヶ月、いいタイミングで本チャンを経験してもらえた。

 この新人は一般登山からアルパインクライミングへの移行方法がわからず数回のガイド計画参加経験もあるが、「ガイドでいくら登っていても自分で計画して登れるようにはならないし技術も身につかないということがわかった」という。ぜひ、当会でアルパインリーダーへの道を順調に辿っていっていただきたい。

 

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 谷川岳南稜、中央稜はアルパインの入門ルートとしてネット上の山日記でよく見かける。しかし、一ノ倉岳まで行ったという記録はほとんど見かけなかったため、懸垂下降をして降りるルートがアルパインルートと思っていた。一ノ倉沢出合~テールリッジでは、雪渓は端と中央は歩いてはいけない、4分の3のところを歩くことを学んだ。雪渓歩きはそこまで慣れているわけではないので、滑らないように慎重に歩いた。落ちている石を利用して登ると比較的安定して登れることを学んだ。雪渓を登っている途中に振り返ると、思った以上に傾斜があり、ここの下りはアイゼン必須だと感じた。テールリッジでは、「落ちてシュルンドの中に入ってしまうと、雪渓が溶けるまで見つからない、もしくは流されてしまう。烏帽子スラブの方へ滑落すると助からない。」など注意点を聞きながら登った。1箇所左足を滑らせてしまったが、滑りそうなところだと判断し、しっかりとしたホールドを両手で持っていたため何事もなかった。中央稜では、核心のピッチでモタついてしまった。チムニーの右側の岩が濡れており避けて登ろうとしたためであった。しかしアドバイスを受け、結局右側の濡れた岩を利用しつつ登った。登攀力アップのためにフリークライミングで練習が必要だなとつくづく思う。セルフを取るときは、素早さが重要なため、セルフビレイコードでまず取らなければならないが、メインロープで先に取ろうとモタついて、一度注意された。2P目の終了点にいるとき、烏帽子スラブへ落石があった。南稜ルートを登る際はこの烏帽子スラブをトラバースするが、落石時はトラバースをしている人がいなかったため、何事もなかった。南稜ルートを登る際は、先行パーティがまだいない時に烏帽子スラブをトラバースしたいと思った。衝立の頭〜懸垂岩では、少し掴んだだけの岩が簡単に取れてしまった。30cm程のもので、即座に両手でキャッチできたから良かったものの、下に落としていたらと思うとゾッとした。今回の山行で飲んだ水の量は500ml程度であった。思った以上に少なく、驚いた。西黒尾根下山時に、右足が軽くつってしまう事が何度かあったが、水分が不足していたためであろうかと思った。水分をこまめにとることを心がけようと思った。

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 この報告で新人は「PASでのセルフを優先」と理解していたので、「基本はメインでセルフをとる」と指摘しておいた。

 ただ、岩場の状況は千差万別、先行Pがいたり、何かの事情で臨機応変に基本を変更して対応しなければならないことも往々にしてあるため、そのあたりを詳しく解説しておいた。

 雪渓の処理、ルート変更など、知っておかなければならないことも多い。

 アルパインクライミングは奥が深く、考える力がないと対応できない。

 また、最近は記録も多く出回っているようだが、そのすべてが基本に忠実なわけではないことも知ってもらった。

 途中敗退のクライミングではなく、「ピークを踏む」クライミングができたことは大変有意義だったと思う。