Q:  ズバリ会の特徴は?

A:  入会者には詳しく説明していますが、ちょっとだけ紹介すると・・・

 アルパインクライミングではたいてい2人1組でパーティーを構成しますので、各人が自立したクライマーになる必要があります。そのため自立できる技術基礎をしっかり身につける訓練を優先しています。また安全を確保する際にはトラッドクライミングの技術を取り入れるクライミングを志向しています。トラッドというとクラックと考える方も多いのですが、トラッドクライミングはもう少し広い領域を含んでいます。カムやナッツを使用し、Leave No Trace つまり登った後には痕跡を残さないタイプの登攀を目指しています。応用範囲の広いクライミング技術となり、スポーツクライミングでは使用しないトラブルシューティングを数多く身につける必要があります。

 

Q:  選ぶルートに特徴があるのですか?

A:  クライミング初心者の場合すべての技術を習得するまでに最低数年はかかります。そのうえで随時成長具合を見計り、いわゆるクラシックルート中心に計画を立てています。マルチピッチも有名ルートはたいていトレーニングの過程で登ることになります。リーダー部は成長途上の会員とコミュニケーションを密にして、各人の成長具合と力量に合わせたトレーニングルート選択をしています。

 

Q: では、私の登りたいルートの計画がないのですが、計画してもらえますか?

A: この質問をされる時点で、山岳会をガイドと間違えている可能性があります。山岳会では「計画がないなら自分で計画すればいいんじゃない?」と、マリー・アントワネット並みにサラリと回答されると思います。自らの力で登山を組み立て計画し、それを成功させるためにトレーニングをする場が山岳会です。従って、行きたい山に登る計画がないのなら、自分で計画できる力を蓄えると同時に、仲間の協力を得る努力をする必要があります。

 

Q: 学生時代ワンゲルに所属していましたので、私にとって理想の学びを考えると、例えば、自分の課題はなにか考え、課題に感じるロープワーク等を外界で練習し、それをすぐに、繰り返し山行で実践して習得していくというものだと思うのですが、そういう活動ができますか?

 すべてのアルパインクライミングの基礎技術を過不足なく身につけた段階であれば、自然とそういう活動になるはずです。ただ、アルパインクライミングは二人1組が基本で、まずは基礎技術を正しく理解してパートナーを危険に晒さないための防御技術を自家薬籠中の物にする必要があり、それには優秀な人で1年から数年はかかります。当会ではまず基礎中の基礎を練習のできる岩場で体得してもらいます。基礎がミスなく身につけられたらマルチピッチでダブルロープ登攀のトレーニングとなります。この段階でバリエーションを数回入れて長いクラシックルートに備えていきます。しかし、基礎技術が身につき、リードができるようにならなければなりませんので、基礎手順すらできるようにならないなら、マルチの後の実践には移行できません。また、繰り返し山行で実践する、その最たるものが登攀力、岩トレです。たとえ高難度が登れてもボルダリングでの登り方のように岩が脆いアルパインルートには適さない登り方もあるのですが、リードができるようにならなければ話が始まりません。また、リードしているパートナーが安心して登れるようなビレイ操作も必要ですね。基礎技術がしっかり身につき、自分自身は当然ながら、他者を危険に晒すのでなければ、どうぞ、「理想の学び」を追求なさってください。

 ただ、そもそも「学生時代ワンゲルにいたから今は山に行っていなくてもすぐにアルパインに移行できる」というわけではありません。ワンゲルで行うのはロープ使いのないハイキングで多人数の団体行動が中心ですから、二人1組でそれぞれの担う責任の大きいアルパインクライミグとは登山の質が異なる、という点をご理解ください。ワンゲル(ハイキング・縦走)なら、地図とコンパスが使えず自立できなくても周囲がカバーしてくれるでしょうし、簡単な生活技術を山で実地に教えて練習しても命に関わる事態には滅多になりません。いくら時間をかけていても周囲の迷惑になることも少ないでしょう。ワンゲルで身につけるような技術はたいていの登山者が独学で身につけられるレベルのものです。しかし、アルパインの場合、基礎技術をネットや本でのみ習得するのは誤解も多く、危険が増大します。課題を繰り返し練習しても許される岩場は決まっていますし、ルートを独占していくらでも時間をかけられるというわけではありません。ネットの知り合い程度なのか、マナーの悪い団体も増え、間違った技術をああでもないこうでもないと試してルートを独占して当たり前という顔をしている場合もありますが。

 当会では基本技術の練習に最低でも1年程度はかけていますが、人によって習得の程度はバラバラです。登攀力も岩場で登らないと身につきませんので、その練習にも時間がかかります。山行で実践するのはそうした基本操作が身についてから、となります。まともな山岳会では基本的なロープワークが身についていないメンバーを手取り足取り面倒をみて本チャンルートに連れて行くことはしません。無責任になにもできない新人を参加させるような会も以前ありましたが、死亡事故を含め、重大事故が何件も続き、その会は空中分解しました。死んでもいいから実践で習得したいなら、そういう山岳会を選択してください。もし、今でも存在するなら、ですが・・・もっとも、山岳会であろうとネットの知り合いであろうと、ミスを連発する初心者を連れて行くなら危険が伴いますから、まともな神経のクライマーなら基礎技術をアルパインルートで実践して習得するのにつきあったりはしませんので、あなたのレベルを知っていて一緒に行ってくれる人の技術力をどのように判断するか、という問題が出てきます。

 もし、基礎的なトレーニングをしたくない、すぐに本チャンに行きたい、というなら、ガイド山行を選択してください。ただし、ガイドもあなたのレベルと適性を判断する必要がありますので、1回目から劔の八ツ峰に連れていってくれるわけではありません。ちなみにアルパインルートでのロープワークを初心者にその場で教えていたら日が暮れてすぐ遭難となるか、岩場テロと呼ばれる迷惑行為につながります。ですからガイドは技術をその場で教えるということはしませんし、フォローでついてくるだけの人に技術を教えることなどできません。その場合は自分で技術を盗むくらいの心構えが必要になるでしょう。さらに技術で一番難しいのは、安全なアンカーの取り方であり、いつでも堅固なペツルが打たれているとは限らないアルパインルートでどのようにしっかりしたアンカーステーションを構築できるか、という点です。ガイドのやり方を見てすぐに真似ができるくらいなら、相当な熟練者と言っていいと思います。しかし、あなたにとってはこれが「理想の学び」でしょうから、ぜひガイドから技術を盗むといいと思います。初心者が生半可な理解で自分で課題設定するのは自由ですが、基本的なロープワークすら覚えていないのに、これが私の課題だと見極めるのは相当難しいのではないかと普通は思います。課題だと思ったことが的外れだったら、あるいは間違ったことを必死になって練習していたら、目も当てられません。周囲にまともな神経の人がいれば、「課題を見つけて実践で練習する理想の学び」は、パートナーや他人を危険に晒すことのないハイキングか学校の教室でどうぞ、と言われると思います。アルパインクライミングでは、練習といえども危険がつきまといます。自分が登るのに必死で、トップロープを独占してトレーニングに一緒に来た他の人が登れないのに配慮もせず、思いやりもなくパートナーに2時間もビレイさせるような実践で満足しているのは本人だけでしょう。

 また、昨今の山岳会では丁寧に初心者に教えることはほとんどしていません。しかし、当会ではその基本を1年から2年くらいかけて徹底的にトレーニングしています。シングルピッチの登り、シングルロープのロープワークから始めて、ダブルロープでのシステム、フォローの確保、防御技術、マルチピッチ登攀へとトレーニングは組み立てられていきます。その間、季節と天候によっては簡単なバリエーションなどをはさみながら、岩場での経験値、ルートファインディング力を高めてもらいます。言葉にすると簡単なようですが、ひとつひとつの要素が確実に身についていなければ、どれも重大な結果に繋がりかねない活動となります。そのような新人のためのトレーニングを毎月1〜2回用意している山岳会はそうは多くありませんし、たまに教えていても技術が古かったり間違った技術を伝承しているケースすらあります。当会でのトレーニングはインドアジムではなく、実際の岩場で行うトレーニングですので、ほかのクライマーの迷惑にならないように考慮する必要があり、さまざまな要素を勘案して場所と内容を決めていきます。そのため、いつでも好きなようにトレーニングができるとは限りません。また、このトレーニング期間には指導する側も、あなたがどのような人なのか、一緒に行って車の中や宿泊先で周囲を気遣ったりできる人なのか、理解力があるのか、間違ってしまったあとにどのような行動を取るのか、など、さまざまなことを観察し、いざアルパインルートという難しい局面になった時にあなたがどのような行動を取るのか、その際にどう対応をする必要があるのかを見極めています。もし、こうした見極めなしに、アルパインルートに「すぐに連れて行ってくれる人」がいるとしたら、とんでもなく実力があるか、精神的にどこか問題があるか、あなたと同程度の人かのいずれかでしょう。

 最近は「自分が練習したいから他の人には待ってもらって当然」という意識があるのか、「自主性を尊重した理想の学び」という小学生並みの自己満足感を満たすためなのか、岩場で素早く行動できないパーティーが増えています。前が詰まっていないのに後続を10分も20分も待たせるなら、追い越しのできないルートでは行動の速いパーティーに譲るべきです。もっとも、こうした練習不足の場合、自分たちも危険なばかりか他の登山者に迷惑をかけるので、アルパインクライミングのルートに出るべきではないでしょう。また、たとえ練習といえども初心者がリード練習をした際、間違った操作でフォローに後遺症の残る怪我をさせてしまい、訴訟となるケースも散見されるようになりました。自分の課題を考えるのは大いに結構ですが、練習といえども、一度のミスで重大事故につながるのがアルパインクライミングです。団体行動が主となるワンゲルでの山行や練習とは大きく異なる点を理解しない限り、60メートルロープを使用しなければならないのに40メートルロープを選択してなんの疑問も持たない、勝手に他の人のセルフビレイを解除してしまう、など、自ら考える習慣がない人の場合、技術習得をそれほど軽く考えないほうがいいと、当会ではアドバイスしています。ハイキングや縦走を学んだ時と同じ方法論はアルパインクライミングには通用しません。

 さらに初心者同志で練習に行くには、「練習なら安全にセットができる」と会で承認してから、となります。また、ワンゲルでは使用しない装備、ロープ、クイックドローなどは個人装備です。ルートによっては夏山といえど雪渓があるので、冬山を登らない場合は別途アイゼントレも必要になります。こうした装備を個人で購入し使用することになります。会での共同装備としてトップロープ用に使用するロープは実際の山行には使用しません。他にも、ハイキングや縦走登山を団体で行うワンゲル、それも高校・大学レベルのクラブ・同好会活動と、自ら社会人としての自覚を持って行うアルパインクライミングの社会人山岳会では個々人の負うべき責任の所在も異なります。個人個人の背負うべき責任が大きくなり、ミスはみんなでカバーできるという学生ワンゲルレベルの活動ではないからです。かなり大きな責任を負う覚悟がない限り、軽々しく「自主性を尊重した理想の学びをしたい」という要求は常識的にできないでしょう。未熟な技術のせいで自分が怪我をするのは甘んじて受け入れていただくのは当然ですが、まだ何をすればいいのか理解できていないままパートナーの命に関わるようなミスをしてしまった際、その責任をどのように取りますか?  

 また、相手がいる活動である以上、コミュニケーション能力も必要になります。優しい社会では自らのコミュニケーションの障害や不備に気づかないまま社会人となることも多くなりました。そのため相手がどのような人なのか、あるいは自分自身がどのようなコミュニケーションを取る人間なのか冷静に見極める力も必要になります。自分自身を客観視するなら、今までの狭い経験から判断して、どんな場合にも「理想の学び」はこうだと考えるのはやめた方がいいでしょう。現場で自主的に課題を見つけて考えるのが有効な学びの場合もあるでしょうが、そんなことをしていたら他の人を死なせてしまう場合もあります。

 その点、アルパインクライミングの基礎トレーニングはワンゲルの山行ではなく、航空機のパイロットや外科医の技術習得に似ています。手術の技量が未熟な外科医見習い程度の腕の医師に「私は手術での課題を自ら見つけて、それを解決するために実際の手術で繰り返し練習したいから失敗するかもしれないけれど患者になってくれ、何人もの患者で実地に試すのが理想の学びなんだ」と言われたら、その医師の手術を喜んで受けますか? パイロット見習いの友人に「私の課題は客を乗せた際の着陸で、自主的なフライトは初めてだから失敗するかもしれないけど乗っていてくれ、失敗したときに自分は脱出して無事だけど乗客はダメかもしれない、でも、何度も実践するのが理想の学びなんだよ」と言われて、ホイホイと同乗しますか? どちらにせよ、失敗しない、という自信と第三者からの確証を得られるまで人の命を預かるような行動はしないでほしいとは思いませんか?

 以上のような理由で、単独登攀ではないアルパインクライミングで「自主性を尊重した理想の学び」を追求したければ、あなたの未熟な技術のせいで、死んでもかまわない、あるいは、喜んで半身不随になります。という奇特なパートナーが必要となりますね。自分やパートナーの長い人生において登山を楽しむために「自主性」を発揮し課題を見つけるのは、装備を整え基本技術をしっかり理解して完璧に習得してからにしましょう。それには、(繰り返しますが)優秀な人でも最低1年はかかります。

 また、高速道路のような道標完備の夏の北フルプス登山道ではなく、奥多摩や奥秩父の波線ルートを(ネットやGPSではなく)地図を読みコンパスを使用しながら四季を通じて単独テント泊縦走ができるレベルでない限り「登山の経験がある」とは認められないのがアルパインの世界です。単独でなくても友人との山歩きすら半年に一度も計画しない人に10年前にハイキングの経験があるからといってアルパインに移行するのに十分な山行経験と認めるほど山岳会は甘くはありません。アルパインクライミングの練習で数メートルの高さから落下すれば人間には致命的です。そして、人が足を滑らせなくても足元の岩がいつ崩れないとも限りません、その事実を認識してください。当会では新人のトレーニングには二重に安全を確保するようなセットをしていますが、そうした配慮をするグループばかりではないことも理解しておいてください。

 

Q:  必須個人装備にはどんなものがありますか?

A:     一般的なクライミング装備が必要になります。最低限、ハーネス、シューズ、ヘルメット、チョークバック、60mシングルロープ(防水処理済ロープ)、マルチの際は8.5mmないしは8mm50mダブルロープ(防水処理済タイプ)PAS、環付カラビナ2枚以上、環なしカラビナ2枚以上、60cm細目スリング1本以上、120cm細目スリング120cm1本以上、フリー用クイックドロー5本以上ないしはアルパイン用クイックドロー5本以上などです。これら個人装備及び共同装備を全て背負えるザック(目安として60リットル以上)も必要になりますね。足りないものがあって、新規購入する場合は一度ご相談ください。一度に全部揃えなくても、順を追ってアルパインに最適な用具をアドバイスしますので、助言をえてから揃えてください。ただ、命を預ける道具になります。破断事故が多いため登攀用具はネット販売の中古品の使用は禁止しています。

 

Q: どんな人に会員になってほしいですか? 

A:  まずは会費と基金を負担でき、道具や交通費など登山に費やす財政基盤があり、常識ある社会人として自立した登山者になりたい人です。クライミングの要素が入ってくると、ハイキングだけの登山とは異なり、そこそこお金がかかります。

 真面目にじっくり、クライミング技術を高めたい、基礎固めをしたいという方には最適だと思います。

 本当に山が好きで単独でもテント泊や縦走に行っている、でも、一人だとロープを使う登山は無理なので山岳会にたどりついた、という流れが理想なんですが・・・クライミングの要素が入る山行では、ハイキングのように一回完結で終わり、半年に2回くらい、というわけにいかないので、ある程度トレーニング参加ができない場合はアルパイン計画に参加できません。

 またアルパインクライミングに挑戦するには、スマホのGPS頼みではなく、地図とコンパスで現在地確認し進路が確定できる、単独テント泊縦走登山は何度も経験があるなどのチェック項目があります。すでにこうした基礎技術がある場合でも、さらにアルパインクライミングの基本が身につくまで最低でも月2回2年間くらいはコンスタントにトレーニングに参加できるかどうか、面接の際に確認していますし、自分でもはっきり覚悟が決まらないなら、入会はお控えください。やる気と忍耐のある方のみがアルパインの世界に入れると言っても過言ではありませんが、やる気の空回りも危険要素を孕んでいます。こちらが資料であらかじめ提示した個人装備やロープなどの必須装備を自分で揃えようとしないのに、忍耐力がなく、「私は決められたトレーニングは嫌いなので自主的にトレーニングしたいんです」と言われても、「道具ひとつ準備しないのにどうするの?」と、指導側の頭の中は疑問符だらけとなります。そして、山岳会はあなたの成長を保証するわけにはいきませんから、一人前になれるかどうかはすべてみなさん次第です!

 

Q: こんな人には神楽坂ACは向かない、というのはありますか?

A: 現在は少人数で年齢層も正直言って高めなので、いくら「バリバリやってます」とはいっても、203040代が大半で大勢でワイワイと楽しく騒いだり、大きなイベントをしたり、結婚相手を見つけたり(?)、という目的の方には合わないと思います。

 山岳会も人間が集まる場所ですから、やはりコミュニケーションが重視されます。コミュニケーションが取れず、ご自分の解釈に固執する方、比喩表現が理解できない方も指導が困難です。過去に「〇〇ガイドからこういう場合は80度と言われた、これは70度だからダメだ!」と主張される方に対し、指導に困ってしまったことがあります。70度か80度か、岩場でいちいち分度器で測りますかたぶん〇〇ガイドさんも測ってないと思います・・・

「以前別の会で真っ暗闇でエイトノットが結べなければいけないと言われたから、それ以来真っ暗闇でエイトを結ぶ練習をしているのだがこの会ではみんな真っ暗闇でエイトノットが作れるのか」と詰め寄って来た方もおられました(**;)。真っ暗闇でエイトノットを結ばなければいけない時点でそれは遭難ですから、当会では多分エイトノットよりビバークするか110番します・・・おそらく、他会のリーダーさんは「真っ暗闇でも結べるようになるくらい、結び方をたくさん練習してくださいね」という比喩で言われたのであり、本当に真っ暗闇で結べなければダメだというつもりではなかったのでは? (このあたり、苦笑した方はウェルカムです!) ちなみに当会ではノットは暗闇ではなく明るいところで目で見て確認してもらっています・・・また、ブーリンは現在当会では推奨していません。

 

Q: なぜ初心者の入会に年齢制限があるのですか? 私は体力があるので例外扱いしてもらいたいのですが。

A: アルパインクライミングはとても魅力的なのですが、かなり危険な活動です。危険を制御するためにさまざまな技術を覚えなければなりませんし、実地には臨機応変に基本を変更して対応しなければならない場面も多く出てきます。年齢が高い場合、アルパインのように危険を制御する技術に初めて接し、さらに習熟して経験を積むには、必要な時間の観点からも、一般的に言って指導が困難になります。アルパインには体力だけでなく、経験と技術、さらにはクリアな頭脳が必要です。地形空間が理解できなかったり、時系列が認識できない場合は認知症の可能性もありますから、山岳会でのアルパインは危険度が高くなります。

 なお、十分な経験のある方には入会時の年齢制限はありません。

 また、やる気もあり、体力や学習能力にも自信がある、ガイドについて基礎技術も習得した、という場合はご相談ください。

 

Q: クライミンググレードはどのくらい必要ですか? 

A: アルパインクライミングではそれほどの高難度を登れなくても登れるルートはかなりあります。ただし、34級と云われているルートはアメリカングレードでいうと5.5から5.8に届かないくらいですが、リードは「絶対に落ちてはいけない」グレードです。5.8を絶対に落ちずに登るには、5.8が登れるだけでは足りません。またルートや地域によってはグレーディングにバラツキが見られます。日本のクラシックルートを落ちずに登るには、最低でも5.10DまでならOSと言わなくてもRPできるくらいの力量が必要です。入会時にこうしたグレードが登れなくても、トレーニング山行に参加して登れるグレードを高める努力は必要です。もちろん登れるなら登れるほどいいのですが、安全を確保するには「登れる」から安全とは限らないのがアルパインクライミングです。

  

Q: 喫煙者なのですが、入会できますか?

A: 喫煙者の方の入会はご遠慮いただいております。

 

Q: ペットを連れて計画に参加できますか?

A: ペット同行の参加は基本的にご遠慮いただいております。岩場のみならず一般登山道でも犬種によっては登山や山道に向かないケースもあり、動物虐待になりかねないこともあります。もちろん救助犬など特殊なケースは除きます。

 

Q: 神楽坂近辺ではなく遠方に住んでいるのですが?

A: クライミングのための岩場は東京近郊にも点在していますが、週末は特に混雑するなど、良い条件とはいえません。そのため、当会のトレーニングでは、夏(4月半〜11月初旬)は小川山・瑞牆山周辺、冬(11月中旬〜4月上旬)は城ヶ崎(ごく稀に城山・湯河原)などに出かけます。沢登り、冬季登攀やアイスクライミング計画では他の地域にも足を伸ばすことがあります。北杜市に山荘を所有しているので、夏季はクライミングに専念できます。自家用車で移動できる方は問題ありません。車の乗り合わせは会員数の関係でいつでも可能というわけにはいかないかもしれませんが、現在は問題なく相乗りで出かけています。できれば都内ないしは神楽坂や飯田橋近辺にお住まいか勤務先がありますと、集会にも便利かと思います。ちなみに定期的に集会に出席できない場合は入会をお断りしています。もちろん急な仕事や急病の際の欠席にはペナルティーはありません。

 

Q: 他会とのかけもち(二重在籍・兼会)OKですか?

A: 労山加盟の会であれば、OKです。確認をお願いしますね。特に当会では一般ハイキングの計画が少ないので、足回りや地図読み力を鍛えるためにもハイキング中心の他会とのかけもちなら両立しやすいかもしれません。ただ、他会での活動であっても、すべての山行について計画書と報告書の提出をお願いしています。(報告書の意義については別ページをご参照ください。) バリエーションの計画でリーダーが他会の方の場合、またはガイドによる山行の場合、ルートに関してコンセンサスを得るために連絡させていただくことがありますので、その旨了解をとっておいてください。また、別途説明する労山の遭難対策基金は登山者に大変有利な制度ですので、基金のためだけに山岳会に所属するメリットがあると考える方もいるくらいです。

 また、ある程度基礎技術が身につき、人間的にも信頼できると確信が持てれば、他会での山行に参加できるよう紹介することもあります。ただ入会してすぐ、他の人に思いやりがあるか、気がきかせられるか、など、その人の人間性を判断するのは困難ですので、しばらくは当会内での活動の様子を見てからとなります。

 

Q: なぜ労山加盟の会ならかけもち(二重在籍・兼会)できるのですか?

  労山内であればある程度技術のすり合わせができているので相互理解が早く、会を超えてもだいたいお互いの技量がわかっているので、リーダーの傾向もわかっているためです。

 労山加盟以外の場合、山岳会のかけもち(兼会)はご遠慮いただいています。

 当会は無料のガイド講習を提供しているわけではなく、当会で今後活動していくための基礎技術を講習という形で提供しています。当会でパートナーとなっていただくための技術講習ですので、他会の活動に合わせた指導、他会の活動についていけるようにするための指導はしていません。

 山岳技術は日本でも世界でも標準化されているとは言い難いため、リーダーが異なったり、会が異なったりすると、コミュニケーションに齟齬が生まれ、思わぬ事故になりかねません。アルパインクライミングを精力的に行なっている山岳会では一般的にかけ持ち所属は禁止されています。逆にかけ持ちを許可している会は山岳会というよりハイキングクラブなのかもしれません。また、山岳会ではなく実質的に同人組織になっており、すでに登れる基本ができている人たちが集まってくるため、教育にまで時間と人手をかけられないという場合もあります。「教育」「技術伝達」というのは専門技術ですから、「教育方法」についてのノウハウがなければ技術を効率的に安全に教えることは難しいものです。日本語を話せるから日本語を話せない人に教えられるかというと、なかなかそうはいかないのと同じことです。

 そのため、現在所属している会で新人教育がないからかけ持ちで教えてほしいという方がたまにいらっしゃるのですが、それはスジが違います。まずは今所属している会に初心者の技術講習を要請すべきです。要請しても教えてくれない、もしくは教える力量のない会でも「楽しいから」という理由でずっと所属していたいのなら、ご自分の選択した「楽しさ」を優先すべきです。

 黙ってかけもちしていてもバレないだろうと考える方もおられるようですが、アルパインやクライミングの世界は意外と狭いので、二股交際が遅かれ早かれ露見するのと同じで、無断兼会はいずれわかります。

 指導する側の時間や労力が無尽蔵で、無料で提供してもらえるのだから利用だけしたいと考えるのは大きな間違いです。

 当会ばかりでなく、どの山岳会に入っても、アルパインクライミングの適性がない、と判断されるかもしれません。残酷な事実ですが、アルパインクライミングはハイキングのように誰にでもできる活動ではありません。いくらトレーニングしても一人前になれない、という可能性も排除できません。そんな不確実な側面を受け入れつつ、それでもステップアップしたいと考えるならそれなりの覚悟が必要になります。

 登山はレベルが上がるほどに「どういう選択をするのか」という課題を頻繁に突きつけられる活動でもあります。

 当会にもある程度の覚悟を持って入会していただかないと技術の習得が困難になります。 

 

Q: わかりました、入会までの手順を教えてください。また、入会に適した時期はありますか?

A:  まず、メールしてみてください。メールでやり取りをしてから面接を設定しますので、顔を合わせてから入会手続きとなります。お話させていただき、上記のポイントについて確認が取れましたら直近の山行に参加してください。基金や他の保険に未加入だったり、準備が必要になるケースもありますので、早めに(最低でも1週間くらい前までに)メールで連絡して面接を受けてください。現在は「お試し」形式の山行は行っておらず、計画参加は入会手続き後となります。

 入会時期については、春から夏が最適です。東京近郊の岩トレに適した岩場は寒くなりすぎたり、場所によっては激混みになるため、当会では初心者や新人の本格的なトレーニングを3, 4月を目処に始めています。その時期に入会していただくのが最適です。逆に11月や12月の入会ですと、新人にできることが限定されてきてしまいますので不満を感じるかもしれませんし、指導側も無理な環境で工夫をこらさざるをえないため大きなストレスとなります。その意味でも春夏の入会を歓迎しています。また冬季登攀は夏季登攀の基礎が身についてから挑戦してください。その際には適切なパートナーを紹介するようにしています。

 

 

 労山の他会所属の方の場合、所属会でできないクライミング技術向上のための岩トレーニング参加は都合が合えばお引き受けしていますので、お問い合わせください。